こんにちは。メディカルホーム苗間の介護士 向後 修です。
今回は、Iさんの話をしたいと思います。
今から7、8年前の話。友人3人と「たまには冒険してみよう」と意気込んで、
バス旅行を企画しました。若い頃は忙しくてなかなか遠出できず、
富士山は一度も訪れたことがありませんでした。
「人生で一度くらいは富士山を間近で見たいよね」と盛り上がり、
70代後半にして初めての富士山観光となったのです。
当日、バスは緑豊かな風景を抜け、だんだん標高が上がるにつれて耳が少しずつツーンとしてきました。
「ああ、私たちも富士山にいるんだ」と感動しながら、窓からの景色に目を奪われました。
五合目に到着すると、空気が澄んでいて、普段吸っている空気とは違うように感じました。
友人の一人が「これが富士山の空気ね。美味しいわ!」と深呼吸しながら笑っていました。
五合目の後に浅間神社にも立ち寄る予定でしたが、思ったよりも観光客が多く、
時間が足りなくなってしまいました。神社へ向かう小道の入口まで行ったものの、
バスの出発時刻が迫っていて、「ここから先はまたの機会にしましょう」と
泣く泣く引き返すことにしました。「また来る楽しみができたと思えばいいわね」と
友人の一人が言い、それに全員で頷いたのを覚えています。
お土産屋さんをのぞいていると、「富士山の空気缶」というユニークな商品を発見。
思わず3人で顔を見合わせて、「これ、面白いわね!」と大笑いしました。
結局、全員で1缶ずつ購入。私は家族へのお土産に、友人たちはそれぞれ孫や子供に
渡すために買ったようです。自宅に帰り、孫に渡したところ、「本当に空気だけなの?」と
不思議そうな顔をして缶を開け、深呼吸しながら「すごい、これが富士山の空気かぁ!」と
笑顔を見せてくれました。その笑顔を見て、買って良かったなと心から思いました。
あの日の思い出は、今でも友人たちとのお茶会で話題になります。
「また五合目に行きたいね」「今度は神社にも行ってお参りしよう」と
冗談を言い合いながら、笑顔でおしゃべりしています。あの空気缶は、ただの空気ではなく、
私たちの冒険と笑いが詰まった宝物のような存在です。
楽しい話ありがとうございます。「富士山の空気缶」大事にしてくださいね。