こんにちは。メディカルホーム苗間の介護士・恩田雄一朗です。
少しずつではありますが、日が伸びてきたり春らしい陽気の日が垣間見られる頃となってまいりましたね。
今日は誰もが忘れられない…鮮烈で残酷な記憶として東北の大震災が起きた日ですね。
加えて言うならば、本年早々にあった石川県の大地震はさらに私たちにまざまざと地震の恐ろしさや
明日は我が身かもしれないという意識や記憶を植え付けた出来事でございました。
例に挙げた2つの大地震には海岸沿岸という地形の条件から津波という恐ろしい二次災害ももたらしました。
こうした出来事から身を守る為にも防災の備えや心構えなど
常日頃から出来る事を忘れずに行っていく事は言うまでもないですよね。
常に防災訓練、救命訓練を筆頭として、忘れてはならない事は思いの外あるものなんですよね。
皆さんは常日頃から意識している事はありますか?
さて、前置きが長くなりましたが、今回は忘れてはならない事繋がりとして
我がメディカル苗間からとある入居者Sさんとのエピソードをご紹介いたします。
Sさんは大正15年生まれの方で普段は温和で気さくな方でした。ふとした事で怪我をされてしまい、
しばらくはベッドから起き上がったりトイレを済ます事すら困難な状態になってしまったのでした。
そんなこんなの状況でゆっくりと、ケガの状態が癒え始めてきたのに気持ちや
意欲が塞がれてしまい寝たきり状態に陥るという悪循環に陥ってしまっていたのです。
お部屋の中では少しづつ自分で動けるように回復こそしてきたもののやはり
職員が付き添わねば身の回りの事もままならない状況でした。
そんな時、Sさんから思いがけないお話を聞かされたのです。
「おらはよ、昔っから家で何かしら自分の仕事(役割の事)を見っけてやってきたんだよ。
庭いじりとか洗濯もんとか何かやってないとどうにもおさまりが悪い質でさ…
ほんとは部屋の中で植物の手入れとか出来れば幾らか気が紛れるんだろうけど…」
「だからさ、そちらさん(職員)の事とか何か手伝える事があったらやってやるから声掛けてくれよ?」
私は不意にハッとして、Sさんの生活歴や性格などを全く理解できていなかった事が無性に恥ずかしくなりました。
同時に、Sさんの伝えてくれた話、温かい声掛けに感謝の気持ちでいっぱいになりました。
忘れてはならない事…それは人として自分らしく生きるという事です。
一見当たり前のようでいて意外と疎かになりがちな事なのかもしれません。
今回はSさんとのエピソードを通じて改めて、どんな環境においてもその人らしさを尊重した
生活援助や自立支援の精神の重要さを再認識することが出来ました。