こんにちは。
富家病院 臨床心理室の根生です。
今日はものわすれ外来”でお会いした素敵なご夫婦のお話をご紹介しようと思います。
重度の短期記憶障害がある78歳の女性キヨミさん(仮名)。
その他にもできないことが増えているのですが、とても穏やかに生活されています。
旦那さんに生活の様子を伺うと、
「同じことを何度も何度も聞いてきますよ。1分前のことも忘れちゃうしね」とのこと。
普通なら、このあと「何度も何度も聞かれるとこっちもイライラしちゃってさ!!つい、怒ちゃうよね」
と続くことが多いんです。無理もないことです。
仮にそうだった場合、怒られた患者さんも不快な気分にって怒り出して、夫婦喧嘩になってしまいます。
が、この旦那さんは違いました。
「テレビで認知症の人が『認知症になると、言いたいことがあっても、
さっき同じことを言ったかもしれないと不安になるんだ。
すると、だんだん言いたいことも言えなくなってくるんだ』って語っていたんです。
だから、妻には、何でも聞いていいよ、何回だって聞いていいんだよ、って言ってるんです」
と話されました。そんな旦那さんだからでしょうか、
キヨミさんは診察時に「この人(旦那さん)にまかせておけば大丈夫ですよ。なんの心配もしてませんよ」
と安心した様子でした。
僕も奥さんを大事にしよ~っと、と思いました。