こんにちは。臨床心理室 長谷川です。
「ナラティブ・ホスピタル」第2章より。
ナラティブ・ホスピタルとは
『「1人の患者を看ていく(診ていく)うえで、その人の病歴だけではなく、その人の今までの人生の“物語”を知ろう。そしてこれから患者さん、家族、病院スタッフでその人の“物語”を作っていこう」』
という発想から始まりました。
私たち心理士は入院時にご家族さまや患者さま本人から聞き取りを行います。
お体の状態や認知機能と言った身体的な面での情報もとても大事ですが、
性格や好きなこ・趣味、どんな仕事をしてきてどんな生活を送っていたのか、
時には出身や子ども時代の話まで遡って伺うこともあります。
患者さまの中には手足に麻痺があったり、寝たきりだったり、コミュニケーションがうまく取れなかったりする方も多いと思います。しかし、
「アウトドアで若い頃は海に山にとよく出かけてました」
「孫とショッピングに行くのが楽しみの一つだったんです」
という情報一つでもあると、なんだかその人がどんな人だったのか少しわかったような気がしませんか?
治療とは全く関係のない情報かもしれませんが、療養中の現在もこれからも、
その人らしい物語を作っていくための重要な情報だと思います。
改めて患者さまの物語を支えるお手伝いをしているという自覚をもって接していきたいと思いました。