富家デイサービスセンター川越は、陶芸と園芸を通じて皆様に本物を作る楽しみ、を味わっていただくことを目指しています。
それは、ご利用者さんお一人お一人の日々が、借り物ではない、ご自身の手による、御自身の物語を紡ぐ日々である、ということにほかなりません。
先日失語症フロアご利用歴10年のDさんに 全国失語症協議会が出した☆≪失語症の方の生活のしづらさに関する調査≫というアンケートの結果をお見せしました。
Dさんは、御利用当初に比べると、書くことや人の話を聞き取ることが今でも大変ですが 本でもなんでも読んで理解すること、自分の考えや気持ちを簡潔に伝えることがとてもお上手になられました。
Dさんは読まれた後に「いつも同じところで同じこと(訓練とか)をしていてはだめです。もっと外に出て行かなくちゃ。(復職はできなくても) できることはいっぱいあるんだから」とおっしゃいました。
確かにDさんはじめ失語症フロアにいらっしゃる方々は困っている人を見ると助けて差し上げるばかりでなくその先々で危なくないように進路の妨害を取り除くとか、すぐに介助者を呼ぶとか きめ細かな配慮と行動が常にあります。その代表格がDさんです。
またDさんも毎年ハーモニカ演奏で参加していた川越市社会福祉協議会主催の「ふれあいコンサート」が今年からなくなった(実際にはもっと小規模でやるらしいのですが)と聞いたときも「本人たちの意見も聞かないでやめるなんてとんでもない!」と激怒されていました。
先のアンケート結果にはご本人やご家族が困っていることもたくさん書いてあるのですが 失語症のご本人たちが「もっと世の中の役に立ちたい、人のためになりたい」中には「ちゃんと働いて税金を納めたい」という希望がハッキリと書かれています。
「おまけとか人の厄介になる半人前の人生ではなく、本物の人生を歩きたいんだ!」という失語症の方達の願いをDさんの言葉がよく表していると思いました。
そしてこの願いを実現するために、私達は世のなかの人にもっと失語症について知ってもらい、行政がきちんと手立てを考えてくれるように働きかけ続けなければならないとも思いました。