ホーム > ナラティブブログ > 富家病院 > 「ありがとう」

「ありがとう」2015年4月1日

こんにちは、富家病院臨床心理室です。

今日から4月ですね!

4月は始まりの季節。

新しい生活が始まる方にとっては、ドキドキ・ワクワクの時期でもありますね(^^)

どうか、実りある1年となりますように!

 

さて、今日はある患者様とのエピソードをご紹介したいと思います。

(あ、今日はエイプリールなんとからしいですが、ウソではありません)

 

その患者様は、長年連れ添った奥様を亡くされていました。

それまで2人でいたのに、突然ひとりぼっちになってしまったのです。

亡くされて数週間までは、落胆されながらも「大丈夫」と仰っていたそうです。

しかし、次第に食事も摂れなくなっていきました。

 

そんな中、お部屋に行きお話を伺っていたところ、ポツンと「さびしい」という言葉が出てきました。

そして、それまで我慢していらっしゃったのか、しばらくの間奥様の話をされました。

どこで出会い、どんな性格の持ち主だったのか等々。

「いい奥様なんですね」と私が言うと、「そりゃあ、そうだよ」と自信満々に答えていました。

ずっと、ずっと寂しかったのですよね。

 

その別れ際「ありがとう、ありがとう、また来てね!」と何度も私の手を握って仰っていました。

私は次の日も、その次の日もお部屋に伺いました。

その度に「ありがとう」と堅く手を握って。

傍にいて胸がジーンとするのを感じながら、私はその手を握り返しました。

 

そして、数日経った現在、患者様は食事を摂ることができるようになりました。

「お腹が減って、もうダメ~!」と言いながら。

元気になって良かった。本当に良かったです。

そして、いつものように握手をしてきました。

(患者様)「今度はお腹が空いてない時に来てね」

(私)「わかりました!元気もお腹もいっぱいな時に会いましょうね」と。

20150401

カテゴリー:富家病院

最新記事

カテゴリー別一覧

月別一覧