こんにちは。 富家病院 透析室 阿部龍之介です。
当院は高齢な方や体調が不安定な患者様が多く、
通常の血液透析治療が難しくなってしまう方がいらっしゃいます。
そんな患者様に使用している治療法、
血液浄化療法(持続的血液濾過透析:以下「CHDF」)についてご紹介したいと思います。
慢性腎不全患者様に適応される透析では、2日分の腎臓の働きを3時間程度で行います。
そのため、血液循環量、尿素窒素等が急激に変化し、体に大きな負担がかかります。
血圧等の循環状態が安定している慢性腎不全患者様は、この負担に耐えることができます。
多臓器不全等の重症合併症、心不全や浮腫等の循環器系の不全等を伴う
急性腎不全の重症患者様は、その急激な変化に耐えられません。
CHDFは生体への負担を軽減するため、血液浄化の速度を落とし、その代わりに
長時間除水を行う治療法です。
循環動態が不安定な患者に急な除水を行うと、循環血液量の減少による
血圧低下を助長する危険があります。
CHDFでの緩やかな除水は、組織から循環血液への水分移行が並行して起こるため、
循環血液量の変化は少なく、低血圧のリスクが低減されます。
組織から循環血液への水分移行とともに老廃物等も移動します。
その結果、血管内だけでなく組織内に広く分布した物質の除去が可能です。
pH、電解質バランス等の維持困難な患者様に対して、速やかにかつ
長時間にわたって是正ができます。
3時間透析では血圧が下がってしまう患者様も、7時間ゆっくり除水を
行うことで血圧を維持して、透析を行うことが実際に可能でした。
透析を行うだけでも、長時間透析や血液透析、血液濾過などの治療法があります。
患者様に適した治療法を試行錯誤しながら、日々精進していきたいと思います。
写真:長時間透析患者様の状態確認の様子